自己効力感とは
自己効力感とは、人が行動や成果を求められる状況下において、「自分は必要な行動をとって、結果を出せる」と考えられる力で、要するに「自信」のことです。
- 自己効力感が高い:「自分ならできる」「自分には能力がある」と考えている
- 自己効力感が低い:「自分には無理だ」「自分には能力がない」と考えている
英語では「Self-efficacy(セルフエフィカシー)」といいます。
また、自己効力感は2種類の考え方に大きく影響されます。
- 結果期待
- 効果期待
1:結果期待
特定の行動をすれば期待する効果が得られると考えることです。
何をすれば結果を出せるかがわかっていると思えるかどうかという意味です。
期待効果が高いほど自己効力感は高くなります。
2:効果期待
結果を得るために必要な行動を自分自身が遂行できると考えることです。
結果を出す方法が難しくても、自分ならできると思えるかどうかという意味です。
期待効果が高いほど自己効力感は高くなります。
自己効力感の種類
自己効力感は3つの種類に分けることができます
- 自己統制的自己効力感
- 社会的自己効力感
- 学業的自己効力感
それでは順に解説していきます。
1:自己統制的自己効力感
自分の行動をコントロールすることについて肯定感を抱けるかどうかです。
簡単に言い換えると「自分ならできる」という感覚のことです。
例えば、未知の分野に挑戦する時には、難しい決断をしたり、集中して物事に取り組んだりといった様々な行動が必要になりますが、自分をコントロールしてそれらの行動を実践できると思える人は自己統制的自己効力感が高いといえます。
2:社会的自己効力感
他者に共感して寄り添うことができると思うかどうかです。
例えば、社会的自己効力感が高いと、気難しい人とのコミュニケーションが必要な案件においても「自分なら仲良くなれるはず」とポジティブに考えられます。
社会的自己効力感が高いと、人間関係でトラブルを起こすことなくうまく立ち回れるようになります。
対人関係において役に立ち、乳児期や児童期の経験でもっとも発達し、大人になってからも持続します。
3:学業的自己効力感
新しい分野の学習や、難しいスキルを学ぶ際などに、自分なら習得できると思えるかどうかです。
学業的自己効力感が高い人ほど、身の回りのスケジュールやタスク管理がうまくできます。
学業的自己効力感は、学校や塾などでの達成感が大きく影響し、難関大に合格したり、学業で目立った成果を残した人ほど高い傾向があります。
自己効力感の構成要素
自己効力感は、結果期待と効果期待の影響が大きいと説明しましたが、それらをさらに細かく分解すると以下の5つの要素に分解することができます。
- 達成経験
- 代理経験
- 言語的説得
- 生理的情緒的高揚
- 想像的体験
それでは順に解説していきます。
1:達成経験
自分自身で達成したこと、又は成功した経験のことです。
経験が多いほど、次もうまくいくだろうと思い込みやすくなります。
2:代理経験
自分以外の人が達成したり成功した経験を見たり聞いたりした経験のことです。
特に経験者が身近な人であればあるほど、自分にもできるかもしれないと思いやすいです。
3:言語的説得
自分には、結果を出す能力があることを言葉で説明されることです。
4:想像的体験
自分自身や、他人が成功するということを想像することです。
5:生理的情緒的高揚
その時の気持ちや体調のことを指します。
体調がすぐれない時や、寝不足な時などは自己効力感が低くなりやすいです。
自己効力感のメリットデメリット
自己効力感が高い場合と低い場合では以下のような違いがあります。
自己効力感の高い人の特徴 | 自己効力感が低い人の特徴 |
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関連用語
よく混同される言葉として「 自己肯定感 」「 自尊心 」があります。
自己効力感と自己肯定感の違い
自己効力感は「結果を出せるかどうかという思い込みの強さ」、自己肯定感は、仮に結果が出せなくても「それも自分だよねと自信を受け入れる考え方」となります。
- 自己効力感:自分ならできるという自信があるかどうか
- 自己肯定感:自分を受け入れることができるかどうか
結果についてどう考えているかという点に大きな違いがあります。
自己肯定感と自尊心の違い
自尊心は、自分自身を価値のある存在だと信じ強く肯定する考え方を意味します。
自尊心は結果に関わらず、自分は価値があると考えるという点が異なります。